銘柄考察

ステップ(9795)2023年9月期本決算

神奈川県を地盤とする学習塾、ステップ(9795)の2023年9月期決算が発表されました。

結果は、増収減益。

増収要因は、塾生の入試結果が好調で生徒数増です。

減益要因は、主に次の3点に大別されます。

  1. 給与増・・・優秀な講師陣に定評がありますが、転職サイトを見る限り勤務体系はブラック寄り(やりがい搾取寄り)だったようです。今回の給与増に伴い、人財の定着に期待が持てます。
  2. 設備投資増・・・PCやITなどの環境整備、什器や図書の更新が行われています。今後は塾の増設、増床、移転も検討されています。
  3. 配当増・・・配当性向が30%から50%へと引き上げられたことにより、増配が実現しました。配当金は2022年9月期の46円から26円増となり、2023年9月期は72円(対前+56%)となりました。ちなみに、相模トラフ地震対策として100億円の内部蓄積の目処が立ったことによる引き上げだそうです。

つまり、減益ではあるものの内容としては社員還元、顧客還元、株主還元によるものであり、プラス要素と捉えられます。

ステップは元々キャッシュリッチ企業で、2019年9月期の現金が45億円だったのに対し、2023年9月期の現金は94億円まで膨れています。

キャッシュを多く保有している企業は、今回のように大化けする可能性が高そうですね。

ただし、海外展開しているわけでもなく、学習塾セクターのためいつまで保有するかについては注意が必要です。

ステップは、少子化に伴い子供一人一人にかかる費用増を見込み、質を担保する方向性を明言しています。

神奈川県が発表している将来人口推計を見ると、2030年を境に年少人口(0〜14歳)は100万人を下回りますが、割合は10%前後を維持する見込みです。

参考:神奈川県の年齢3区分別人口・割合(神奈川県政策局作成)

これを見ると、中長期的に保有することもできそうですね。少子高齢化以外の要因がリスクとなるのかもしれません。大学入試が筆記試験からAO入試へ舵を切りつつありますが、ステップのメイン顧客である小中学生にも中高受験にその波が来ると影響が大きそうですね。あとは四谷大塚の盗撮講師が事件となりましたが、講師品質の担保も引き続き課題となりそうです。

以上、「ステップ(9795)2023年9月期本決算」でした。